らんびきについて

らんびき

ゑびす酒造の代表銘柄である「らんびき」は、大麦と米麹を原料にして造った本格熟成麦焼酎です。

「らんびき」のすばらしさは、熟成です。
熟成とは時がなせる技です。
そして時は自然にゆだねる必要があります。
伝統製法で醸した自然豊かな風味を持つ原酒は、樫樽(一部は陶器の甕壷)でじっくりと眠らせ、熟成させます。
自然の環境の中で、長い年月を経て、少しずつ現れる円熟の味。
飲みごろになるまでじっくり見守る愛情と、1番うまい時を見極める勘も必要です。
熟成という自然のなせる技と職人の技。
自然と人の技が重なり合った時、長期樫樽貯蔵の「らんびき」は生まれます。

樽熟成

「らんびき」は大麦を原料にした樽熟成の蒸留酒ですから、初めて味わう方は、ウイスキーのような印象を抱くかもしれません。

この「らんびき」が生まれたきっかけは、昭和30年代にさかのぼります。
ある日、ゑびす酒造の3代目、田中実造が蒸留したてのウイスキーの原酒を飲んだところ、「蒸留してすぐの原酒は断然焼酎の方がうまい」と感じたそうです。
「同じ貯蔵方法を取れば、ウイスキーよりもうまい蒸留酒ができるはずだ」
そう考えた実造は、樫樽長期貯蔵の本格麦焼酎の開発に乗り出します。

当時、日本で、樽貯蔵の焼酎に挑戦した3番目の酒蔵。
先人がほとんどいない状態でのスタートでしたから、実造は跡取りの4代目・勝海と試行錯誤の日々を過ごします。
そして昭和44年(1969年)、6年貯蔵の「らんびき」を初めて世に送り出すことに成功しました。

「らんびき」とは海外から日本に伝わった、蒸留器のことです。
現在もウイスキーやブランデーの製造に使用される単式蒸留器の「アランビック」が語源。
この蒸留器は古代ギリシャの技術をルーツに、中世アラブで原型がつくられ、世界中に広まりました。
「アランビック」はポルトガル語で、それが訛って日本語で「らんびき」と呼ばれるようになったと言われます。

私たちゑびす酒造の熟成麦焼酎「らんびき」には、海外から伝わった蒸留技術によって誕生した日本の本格焼酎が、将来は海外で認められる蒸留酒となり、世界中の人たちに楽しんでもらいたいとの願いが込められています。

らんびき

ゑびす酒造が「らんびき」をつくり始めて、60年が過ぎました。
今、蔵の貯蔵庫には、米国産、仏産の新樽やスコッチ、シェリー、ラム、ブランデーなどで使用された古樽など、たくさんの樽が並び、熟成の時を刻んでいます。
さまざまな樫樽から生まれる個性豊かな原酒。
その金色の原酒から放たれる芳香は、時にバニラのようであり、レーズンのようであり、他のどこにもない唯一無二の存在です。
その宝の原酒を大切にしながら、これからも世界に誇れる蒸留酒を目指していきます。