木樽貯蔵について
樽貯蔵をスタートして60年が過ぎたゑびす酒造には、大小さまざまな種類の樫樽があり、その樽の中で寝かしつけた麦焼酎は「らんびき」として出荷されるまで、静かに熟成の時を刻んでいます。
ゑびす酒造で使用しているのは、世界各国の樫樽です。
アメリカ産・ホワイトオークやフレンチオークの新樽のほか、ラム酒やスペインのシェリー酒の熟成で使った古樽など新旧さまざま。
フランスのリムーザンオークで製造され、コニャック(ブランデー)を長期間熟成させていた古い樽もあります。
蔵に届いて間もない新樽は、力強い熟成効果を与えてくれます。
その一方で、長い期間にわたって使用し続けると、効き目は穏やかになっていきます。
50年以上経過した古樽は落ち着き感があり、優しく繊細な熟成をもたらせてくれます。
また、樽材の産地や品種、古樽なら使用されていたお酒によっても、効果が異なります。
加えて、一定期間使用した樽の熟成力を高めるため、内部を削って焼き直す「チャー」と呼ばれる再処理の加減も酒質に大きく影響します。
甘いバニラ香を放つ原酒があれば、レーズンのような香りやスモーキーさを感じるような原酒も。
樽1本ごとに違った個性を生み出すんです。
樽1本1本の熟成具合を確かめることは、それぞれの原酒の行く末を見極めるとても大切な作業ですが、そこでは熟成原酒の持つ魅惑の芳香に驚嘆させられることもしばしばあります。
この世に同じものがない個性豊かな原酒の数々は、われわれゑびす酒造の宝であります。
これからも、こだわりである「熟成」について探求し、みなさまがあっと驚くようなすばらしい樽貯蔵の麦焼酎を生み出していきたいと思っています。